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久しぶりに芝居・ぬ?な生活 [観道楽の感動・楽]

先週から今週にかけて、久しぶりに心に残る舞台を2本観てきました。

まずは日曜日に観てきた永井愛さん作・演出の『やわらかい服を着て』
   
 
これは、新国立劇場制作のシリーズ「われわれは、どこへいくのか」の第3弾です。
4月に第1弾の『カエル』を観たのですが、これは、滅び行く地球がテーマの不条理劇でした。
                                                 (難解だった…)
   

去年は、永井愛さんの作品を3本も観る機会がありました。
どれもおもしろい作品ばかりだったので(『歌わせたい男たち』は数々の演劇賞を受賞)、
これからは、永井作品は見逃さないようにしよう、と思ったところで、この新作、大いに楽しみでした。

劇場入り口に着くと、何だか若いお客さんがゾロゾロと。
へぇ、永井愛さんって、こういうファン層なんだ…と思ったら違ってました。
   
隣の中劇場では、宮本亜門・演出、小堺さん主演の『Into the Woods』を上演中だったのでした。

が、『やわらかい服~』の小劇場も、早々に完売したとおり、満席。

席に着くと、まず、この可愛らしい絵の描かれた緞帳が目に飛び込んできます。
(開演前に、こういうのって写真とっていいのかな…と周りを憚りながらパチリ)
   

この緞帳が上がると、いきなり携帯電話の音が鳴るのです。
私が毎朝、目覚まし代わりに鳴らしているメロディで、思わず暗闇の中で、電源を切ったばかりの
わが携帯をまさぐって確認してしまいました。
これが、この物語の幕開けであり、象徴だったのですね。(ネタバレ気味でスミマセン)
私の大好きな曲なので、目覚ましに使っているのですが、これからご覧になる方のために、
曲名は伏せておきます。

物語は、世界各地の人道支援に取り組むNGO団体に集う若者たちを描く青春群像劇。
自身の経済事情や、ちょっとしたボタンの掛け違いで、バラバラになりかけるけれど、
まだまだ不安定な世界各地に目をやり、また一つにまとまっていくのです。
ニッポンの若者たち、まだまだ捨てモンじゃないぞ、っていうお話ですね。

この舞台、吉田栄作(敬称略でスミマセン)が主演なのですが、
はじめ、彼が舞台上のどこにいるのかわからないくらい、すっかり若者の一人に溶け込んでいました。
力んだ感じがなく、トレンディドラマで一世を風靡した頃の、生意気そうな吉田栄作ではなかったのです。
意外にも、今回が初舞台だということを、あとでプログラムを見て知りました。
以前はあまり好きでなかったのですが、ちょっと好感が持てました。劇中で披露する歌もよかったし。
これからは、舞台に活躍の場を広げていくのかな?吉田栄作。
カーテンコールで、とてもうれしそうに客席に深々と頭を下げる姿が印象的でした。


もう1本は日にち遡りますが、先週水曜日、【ふなばし演劇鑑賞会】の例会で劇団民藝『明石原人』
   

『やわらかい服~』が青春群像劇ならば、こちらはしっとりとした夫婦愛の物語です。

実は、先週の水曜日、東京地方は夕方から恐ろしいほどの雷雨。それに、久しぶりの夜公演。
地味そうな作品だし、パスしたいな~という気持ちも心をよぎりました。

が、幕が上がってみれば、そんな思いを吹き消してくれる、明るく、それでいてしっとりした話でした。

11歳年下の元教え子と結婚した女教師(日色さん)。その夫はと言えば、生計を年上妻に任せっきりで
化石発掘に夢中。しかし、小学校しか出ていない夫は、考古学界の学歴の壁に、そして戦時中の
皇国主義に阻まれ挫折。それを、妻は病に倒れながらも、経済的に精神的に支えていく…夫婦愛です。

日色ともゑさんご自身は、とても小柄な方のようで、大柄な年下夫とのシーンでは、
とても可愛らしい女性なのですが、
一人のシーンになると、とても大きく、存在感を感じさせてくれます。
そして、なんといっても、日色さんの力強く、なおかつ優しく艶やかな声にも、大いに魅了されたのでした。

当日配られた会報をめくると、2月に日色ともゑさんをお招きして行われた総会での、記念講演のことが
書かれていました。

   

日色さんは、敬愛する詩人・茨木のり子さんがなくなられた直後ということで、黒っぽいお召し物で
茨木さんの詩「自分の感受性くらい」を朗読されたとのことでした。

私は残念ながら総会には出席していませんでした。
その頃は、茨木のり子さんのこと、あまりよく知らなかったのですが
【柴犬陸さんのブログ】や、週刊誌の記事で、その気丈な生き方を知って、
最近ちょっと興味を持ち始めたところです。
日色ともゑさんのステキな声での詩の朗読、聞いてみたかったなぁ、と今さらながら思ったのでした。



さて、次回はこれとこれ
          

7月の演劇鑑賞会例会は『銃口』…前進座の公演です。キャストさんも地味目だし、何だか暗そう…
でも、『明石原人』の例もあるので、あまり偏見や先入観を持たずに観ることにしましょう。

もう一つは『夢の痂(かさぶた)』…シリーズ「われわれはどこへいくのか」第4弾で、井上ひさしさんの
東京裁判三部作の完結編です。
こちらは、「渡鬼」でお馴染みの角野さん、「へぇ~!」でお馴染みの高橋克実さん、
元クレイジーの犬塚さん、柴壱と同い年(←嘘つけ)の藤谷美紀ちゃん…と魅力的な役者さんばかり。
しかも、三部作の第一作からのメンバーで、チームワークもよさそう。
東京裁判って難しそうなテーマだけど、井上作品ならではの歌や笑いで、楽しませてくれるだろうな…。 


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みゆき

吉田栄作って昔会社で周りの子達に人気がありました。
最近はテレビであまり見かけないけど、舞台で頑張っているんですね。
私はお芝居ってマッチとか少年隊くらいしか見たことがなくて、
柴壱さんや柴犬陸さんのようにお芝居を見る楽しみというのを知ったら、
きっと楽しみが増えるんでしょうね。
by みゆき (2006-06-01 17:03) 

Cocona

舞台を見たいとおもいつつ未だにチケットさえ購入していないわたしですが、柴壱さんの話を読んで、まるで行ったような気分になりました。雰囲気がすごく伝わって来たんです、なぜか。広い趣味と洞察力ですね。それでブログもこんなに楽しいんですね、納得です。これからも紹介してください!
by Cocona (2006-06-01 22:41) 

チヨロギ

「やわらかい服を着て」は、柴犬陸さんとニアミスだったのでしょうか?
立てつづけにいろんなお芝居を楽しんでいらっしゃいますね~。
日色ともゑさんの声って、私も好きです。静かだけど、しっかり響いてくる感じ。
詩の朗読をぜひ聞いてみたいです。
さて、次は「夢の痂」のレビュー、楽しみにしていますね~♪
by チヨロギ (2006-06-01 23:17) 

ちほえもん

はじめてお邪魔します。
「ピアノ」カテゴリーを中心に読ませていただきました。柴犬お好きだったんですねー。なんだかすごく活動的で、読んでるだけでエネルギーもらいました!
舞台は、わたしも大好きです。(高校演劇部だったし。)最近は観にいくことが減りましたが、鴻上尚史(第三舞台)とか野田秀樹(野田マップ)、ラッパ屋なんかが好きでよく観にいってました。

あ、わたしもお気に入り登録させていただきますねー。
http://yaplog.jp/chihoemon/
by ちほえもん (2006-06-01 23:27) 

柴犬陸

柴壱さんとは、すれ違いでしたね。
『やわらかな。。』2幕目は、なんだか涙ぐんでばかりいました。
当日参加した、シアター・トークで永井さんの人となりに触れることができて、またファンになりました。とってもチャーミングな永井さんでした。
TBさせてくださいませ。
そういえば、関連記事↓に載っていますね。
私の関連記事にも、柴壱さんの記事載っていました。

茨木のり子さんの詩を日色さんが朗読されたことは、初めて知りました。
ご紹介&リンク、どうもありがとうございます。
by 柴犬陸 (2006-06-02 01:05) 

柴壱

♪みゆき様♪
nice! ありがとうございました~☆
ライブって、どんなものでも熱気が直接伝わってくるので、迫力ありますよね。
ただ、私もまだまだ「観方」を勉強中でございます。
吉田栄作って、ドラマに出まくってた頃は、生意気そうに見えてたけど、
アメリカに修行に行ってから、変わりましたね~。
みゆきさんは、たのきん世代なんですね…。
by 柴壱 (2006-06-03 11:47) 

柴壱

♪Coconaさま♪
nice! ありがとうございます~☆
こんな拙いブログで舞台を見た気分にってくださるなんて…うれしゅうございます。
でも、ぜひぜひ、本物の舞台をご覧になってくださいな。
と言っても、人気の舞台はチケットを取るのが大変で、それだけでパワーを
使い果たしてしまいそうですけどね…。
by 柴壱 (2006-06-03 11:55) 

柴犬陸さんも・・・同じお芝居みてらしたですね。
すごいな、見たかったな~
by (2006-06-03 11:59) 

柴壱

♪チヨロギさま♪
nice! ありがとうございます~☆
日色ともゑさんって、テレビではあまり気づかなかったけれど、生の舞台では
ステキな声を、すっかり楽しませてもらいました。舞台の女優さんなんだ…と改めて。
それに、とても気さくな方らしいです。
詩の朗読も、ぜひ聞いてみたいですよね。
by 柴壱 (2006-06-03 12:08) 

柴壱

♪ちほえもんちゃま♪
ノーテンキな世界へ、ようこそ~!です~☆
お気に入り登録してくださったなんて、ありがとうございます。
いい年して、あまりにもオマヌケなのでお恥ずかしい限りですが、
これからも、ヨロシクどうぞ、です。
お芝居、お好きなんですね。
高校時代演劇部というのは、ちょっとビックリでした。
by 柴壱 (2006-06-03 12:19) 

柴壱

♪柴犬陸さま♪
nice! &TBありがとうございました~☆
陸さんが記事にされるのを待って、こちらも更新しようと思ってました。
…というか、うまくまとめられないうちに、日が過ぎてしまったのですが…(^^ゞ
シアタートークもよかったみたいですね。私も聞きたかったですぅ。
日色ともゑさんの「自分の感性くらい」も聞いてみたいですよねぇ~!!
こちらからも、TB送らせていただきました。
by 柴壱 (2006-06-03 12:31) 

柴壱

♪kissちゃま♪
nice! ありがとう~~~~~☆
by 柴壱 (2006-06-03 12:32) 

柴壱

♪fumilinちゃま♪
nice! ありがとう~~~~~☆
この作品、追加公演が決まった…というのを風の噂に聞きました。
(真偽のほどはわかりませんが)
見に行くチャンスがあるといいですねぇ。fumilinさんお忙しそうだけど…。
by 柴壱 (2006-06-03 12:36) 

お芝居、良いですね~☆ あの雰囲気がたまりませんよね!
そうそう、吉田栄作って最近は、変わりましたよね。渋くて丸くなった。
先日、ナベプロの「渡辺慎物語」をTVで見ましたけど、良い味出してました☆ 角が取れて、良い役者さんになったようですね。
仙台はなかなか良い作品が来ないけど、何か見たいなと思いました。
by (2006-06-05 01:57) 

柴壱

♪saraさま♪
nice! ありがとうございます~☆
吉田栄作って、トレンディドラマ全盛の頃の派手さはないけど、
いい感じになってきましたね、テレビドラマでも。
この手のお芝居は、東京以外では、なかなか観られないのが残念ですよね。
仙台の友だちも、大阪に転勤した友だちも、わざわざ東京まで観にくるんですよ。
by 柴壱 (2006-06-07 10:36) 

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