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ジャズ&ジャズの週末 [観道楽の感動・楽]

週末…といっても、前の前の前の週(5/23~24)の話です。

5/23はジャズピアニストの小曽根真さんのコンサートを聴き
5/24はこまつ座『きらめく星座』を観てきました。

賞味期限切れで今さらどうよ、と思いつつも、やっぱり記しておくことにしますよ。

写真少なく、文章かなり長いですが、興味のある方、続きをどうぞ。



まずは、こまつ座『きらめく星座』東京公演千穐楽。(作・井上ひさし/演出・栗山民也)

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先週、地方公演もすべて終わったので、ネタバレのストーリーをちょっとご紹介。

物語は、昭和15年秋から16年の真珠湾攻撃前夜までのある6日間に
浅草のレコード店・オデオン堂で起きた話。

レコード店には、人の好い主人(久保酎吉)、
元歌手でメチャメチャ陽気な後妻(愛華みれ)、
数百人の傷痍軍人と文通を交わす軍国少女の長女(前田亜季)、
そして、広告文案家(=今でいうコピーライター・木場勝己)、
軍歌までジャズ風に弾いてしまう学生(ピアニスト・後藤浩明)が
間借りして暮らしていました。

そこへ、陸軍に入隊していたはずの長男(阿部力)が脱走したとの報。
蝮の異名を持つ憲兵(八十田勇一)が乗り込んできます。
脱走兵を出したとあっては、オデオン堂は閉店の憂き目にあうこと間違いなし、
ということで、後妻が一計を案じるのです。
長女が文通相手の一人と所帯を持てばいい。それも、ハガキの束の中からクジ引きで選ぶ相手と。
そうなれば、非国民の家族から一転、美談の家になるはず、と。
こうして、堅物の傷痍軍人の源次郎(相島一之)が、一家に加わることになりました。
源次郎は、非常時に、敵性音楽ばかり好む一家がどうしても許しがたく、腹を立てるたびに
戦争で失ったはずの右手が痛みます。
一方、脱走した長男は生家に連絡を取るのでは、と蝮の憲兵は住み込みで監視することに。
それが、いつしか職務遂行とは裏腹に、こののん気な一家に親しみさえ持つように。
そんな中、長女のオメデタが発覚。
しかし、
「男の子はいつか兵隊に取られる。女の子は兵隊に取られた家族の無事を案じて待つだけ。
 生まれてくる子どもは幸せにはなれない」
と、自らのお腹に石を打ちつけて堕胎しようと。

そこで、広告文案家が「人間というものを宣伝するならば・・・」
(以下、大意。ホントは1頁以上にわたる全文を紹介したいところですが)
「この宇宙に約4兆もの惑星があり、その中に、地球のような惑星が存在することが奇跡。
 そこに小さな生命が誕生したのも奇跡なら、その生命が幾多の試練を経て人間となったのも奇跡。
 その人間の中にあなたがいることも奇跡。誰かとであって恋をしたり喧嘩をするのも奇跡。
 人間の一挙手一投足が奇跡そのもの。だから人間は生きなければなりません」と。

このあと、真珠湾攻撃の前夜、オデオン堂は閉店し、一家はバラバラになりますが、
それぞれが明るく前向きに生きていこう、という余韻だけはしっかりと残されていました。


下世話な喩えで、作者の井上さんがこのブログをご覧になったら怒られるかもしれませんが
♪あぁ~この世でふたり、めぐりあう奇跡~
な~んて歌が熟年離婚防止ソングなら、
この『きらめく~』は「不況苦自殺防止舞台」といってもいいでしょう。


今回、公演期間中にアフターイベントとして出演者によるトークショーが2度あり、
この千穐楽のほかに、その回も見てきました。
特に、テレビでは嫌なヤツを演じることの多い相島さんと、蝮の憲兵とは程遠いキャラに見える八十田さんが
どんな素顔を見せてくれるのか、とても興味がありました。

八十田さんは、やはり天然っぽいおもしろい人でしたよ。
こんなすごい芝居とは思わずに、普通に引き受けたら、稽古初日の読み合わせで思わず泣けてしまったとか。

相島さんも、ムードメーカー的な楽しい人でしたね。
司会者の、「三谷作品と井上作品との違いは?」の質問に
「三谷さんの芝居がテンポの速いキャッチボールなら、井上さんのはゆるやかなキャッチボール」。
そして「井上さんの芝居には、背骨が1本通っている感じ」と。

たしかに、三谷さんはテレビも映画もおもしろい。
もちろん舞台もおもしろいけど、「1万円近く払ってクスクス笑っただけか?」
と、いつもギモン符いっぱいで帰る柴壱にとっては「井上作品には背骨が通っている」とのひと言が
ミョーにうれしく、納得でした。


ジャズや懐かしの戦前歌謡が随所で流れ、
それをリアルタイムで聴いていた方々はもちろんのこと(たぶん)、
そんな世代に育てられた柴壱たちにも、何となく懐かしい気分にさせてくれました。
あれから3週間が経った今でも
♪一杯のコーヒーから~」とか「♪せまいながらも楽しい我が家~
なんて歌が、頭の中でリフレインしております^^;

主演の愛華みれさんは、大病を克服して今年のお正月にご結婚、
相島さんも、かなり大変な病気を克服しての復帰舞台だったらしい。
阿部力さんは公演直前に結婚報告、
そして前田亜季ちゃんも、お姉さんの前田愛さんが中村勘太郎さんと婚約したばかり、
と、顔ぶれを見ているだけで、元気がもらえて幸せになれそうな、
奇跡のような座組の舞台でした。

それにしても、こういう芝居が、なかなか動員に結びつかないのが残念。
ま、今はみんなのお財布の紐が堅くて、一部の派手なところを除けば、
芝居そのものが、どこも厳しいようだけど。
いや、派手なところも派手なところなりに、大変らしい。
かく言う柴壱も、今回は(いや今回も、前回の『ムサシ』も)自分は何度も観にいったのに
ブルテのチケットまでは取らなかったもんなぁ^^;




前日(5/23)は、市川市文化会館で小曽根真さんのコンサート。
4月に『ムサシ』のチケットを取ってやらなかったブルテから恨みごとを言われましたので、
このコンサートは一緒に行くことにしました(笑)

長いことピアノを趣味にしている柴壱ですが、ジャズのコンサートは初めて。
しかも、今回はNo Name Horsesというユニットとのビッグバンドジャズでした。

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この日のプログラムは、発売したばかりのアルバム「Jungle」から全曲。
ラテン調のジャズが、どれも心地よく耳に伝わる曲ばかりです。


ジャングル

ジャングル

  • アーティスト: 小曽根真 featuring No Name Horses
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2009/05/20
  • メディア: CD

ほぼ一般前売り開始と同時にイープラスでゲットした席は、5列目の下手サイド。
演奏する背中と手元がよく見える、いい席でした。
(ピアノ弾く男性って、指先よりも背中に色気を感じるよね…というのが柴壱の持論)

最初は、胸に赤い花の描かれた黒いシャツをお召しで、
黒いグランドピアノに花の赤い影が映って見えるアングルでした。
休憩後は、一転、白いシャツにお色直し。
初めはパリッとしていたのが、フィナーレの頃にはシワシワよれよれで、
大汗での熱演を物語っていました。

ブルテも、「その道を究めるって、すごいことだよねぇ」と感心しきり。

何となく、クラシックとジャズは別もの、と勝手な線引きをしておりましたが、
基本的なものは、全く変わらないわけで‥‥
ダイナミックな演奏も、決して力任せに弾いているわけではない、な~んてのも
間近で見て、よ~く伝わってきまして、とてもいい勉強になりました。

彼も、最近ではジャズに留まらずクラシックでも、世界の名だたるオケと共演されたりしてますので
これからも、できるだけコンサートには足を運んでみたいと思います。
ちなみに、来年も市川市文化会館でのコンサートが決まっているそうです。

そうそう、ジャズのコンサートは初めて、と書きましたが、
昨年暮れ、タダで小曽根さんのピアノを聴かせていただく、クリスマスプレゼントのようなひと時が
ありましたっけ。(そのときの記事はこちら

この小曽根真という人、ジャズの道では「世界の小曽根」ですが
クラシック畑の人間には、実はあまり馴染みがなくて、彼を知ることになったのも、
5年くらい前のこまつ座のお芝居を通じて、でした。
彼の奥さんで、女優の神野三鈴さんが出演されてたもんですから、それで。

ブルテが、その神野三鈴さんのファンで、三鈴さんに会えるかも、
な~んて淡い期待を抱いてコンサートに出かけたのですが、
残念ながら、というか当然というか、お会いできず。
そうしたら、なんと、翌日の『きらめく~』の千穐楽にいらしていて、
ロビーでお会いすることができました、柴壱だけ。
「いいなぁ、自分ばっかり」と、またしてもブルテから恨みごとを言われてしまった次第です(笑)

そんなわけで、ブルテと柴壱で、小曽根&神野のご夫妻を応援していこう
と勝手に思っているのであります。

この秋、こまつ座の井上ひさし書き下ろしのお芝居で、ご夫妻の共演が決まっています。
ほかには石原さとみちゃん、高畑淳子さんも出ますよ。

今から、とても楽しみ♪
今度は、間違いなくブルテのチケットも取ってやらねば(笑)



長くなりましたが、最後までご覧いただき、ありがとうございました。

お礼に…というのも変ですが、
このブログの3つ前の記事と、別宅のこちらの記事に宝箱が出ていますので
集めていらっしゃる方は、クリックしてお持ち帰りくださいませ。
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コメント 4

Cocona

お話の内容を知ると行けば良かったと思うのですが、スルーしてしまいました。
たくさん、様々な公演があるだけに、迷って悩んで、そのままが多くなってしまうなぁ
つい、知っている内容を選んでしまう
今回は観た気になってしまいました
ありがとうです!
by Cocona (2009-06-14 11:02) 

Michy

先日、久しぶりにお芝居を観に行って、やっぱり生の
舞台は時々観て、感性を磨かないとダメだな〜って
思いました。
愛華みれさんは、少し前にテレビで拝見し、大変な病気
を克服されたことを知りました。
明るく語っているその姿に感動。
頑張っていただきたいです。
by Michy (2009-06-15 01:28) 

チヨロギ

舞台の様子がとてもよく伝わってきました。
井上さんのメッセージが心に響きますね。
ただ、三谷ファンとしてはとてもショックな一行が。
 > 「1万円近く払ってクスクス笑っただけか?」
柴壱さんがそんなふうに思っていらしたなんて...(´_`。)グスン
でも、反論はやめておきます。価値観は人それぞれですもんね。

ビッグバンドジャズって、楽しそう。いつか生で聴いてみたいです♪
by チヨロギ (2009-06-16 01:46) 

JuiLL3t

訪問&nice!ありがとうございました!
by JuiLL3t (2009-06-17 17:56) 

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